ショッピングセンターの駐車場でつかまえて

僕は実生活ではほとんど、自分が小説を書いていることを言っていません。それは過去に、自分は小説を書いていると言った時に、そんなのやめろ、だの、小説を書いていても賞を獲っていなければ小説家とは違いますよ、だの、ひどい人は、僕のその頃の経済状況を訊いてきて、一日の食費は200円くらいだと思う、と伝えると、そんな貧乏人の小説なんか読みたくもないし、お前はただ自己満足で小説を書いているだけのオ〇ニー野郎だ、と言われたりもしました。今思えば、散々な言われ様ですね。

でもその頃の僕は収入も無く、貯金も減って行く一方で、それでも小説を書くことを止めようとはせず、むしろ今よりも小説に全力で、いや全力以上でぶつかっていっていました。なので、批判してきたり馬鹿にしてきたりする人に反論したり反撃したりする考え自体が湧いてこなかった、湧いてきづらかったのだと思います。今頃になって、あの時はああ言い返しておけば良かった、などと一人でぷんぷん怒っている時があります。多々。

と言うことで、家族以外に僕が関わっている、関わらずにはいられない人に、僕が小説を書いていることを知っている人はほとんどいませんし、いても、適当に、今はもう書いていません、などと誤魔化しています。

 

小説を書いている人に対し、世間は批判ばかりします。

でもきっと賞を獲った後も、批判ばかりします。質は変わるかと思いますが。

 

それに気づいた時、「何してる人?」という質問に真面目に答えるのも何だか馬鹿らしいなと思うようになったので、書店員、とだけ答えています。

ですが、本当にやりたい仕事は小説とはまた別にあります。

「ショッピングセンターの駐車場に散らばったカートを集めて回る仕事」です。

意外とやりたい人が多くて、倍率の高い仕事なんじゃないかなと思っています。