劇的

「着想を得る」とか「ストーリーが降って来る」とか、そういう経験は僕は一度もしたことがありません。書き出しの1枚目を何週間にも渡って書いては消してを繰り返します。そして今は、一度、書くことから大きく距離を取ってみようとしています。小説作法にがんじがらめになっていて、身動きが取れない、そんな状況にあると思ったからです。

 

劇的な何かは訪れません。この先どうなるか分かりませんが、少なくともドラマチックな何かを経験したことはありません。努力が必ずしも報われるとは限らない、そういうことの方が多かったと思います。

 

中年ということを自覚するようになりました。ジムでトレーニングすればするほど体力がついていたのが、ジムでトレーニングしないと体力が維持できなくなり、気力の面でも、これは無理かもしれないなと思うことが多くなりました。

 

ただ、こうも思います。

 

経験を積んだり、技術を身に付けたりすることで、逆に見えなくなるものがある。

 

今日、いつもの散歩道に桜の花が一輪、咲いていました。

嗚呼、春なんだ。そう気付いただけで、あたまの中が更新されていくような感覚をおぼえました。

こちらから向かっていくことばかりでなく、向こうからやって来るのを受け入れる、そういう時間や頭の使い方もあるのではないだろうかと思いました。