スランプだと思っていました。4年前に原稿用紙368枚の小説を書いてから、ずっと長編小説が書けませんでした。大体、30~40枚で筆が止まり、その先へ進むことが出来ずにいました。自分の好きな作家の本を何度も読み返したり、その作家に関する資料を集められるだけ集めてみたりしました。するといつの間にか、神経がおかしくなって、眠れなくなったり、めまいがしたり、どんどん体調が悪くなりました。
しかし、他の作家(超有名)の出している、小説作法の本を読んだところ、どんどん体調が良くなりました。眠れるようになり、めまいも無くなりました。
何が書かれていたかというと、
「私はサラダを作るのが好きな作家で、しかもドレッシングから作る」
ということが書かれていました。
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と思われた方もいるでしょう。しかし、僕には「ああ、なるほどな」と思わず膝を叩きました。
身体を壊すような生き方や考え方をして書いた小説は、続かないということです。確かに人目につきやすいように変わった考え方をしたり、考えをこねくり回す作風もあると思います。ぱっと見、ユニークだと。しかし、長くは続かないし、僕の経験上ですが、そういう書き方は400字詰め原稿用紙30~40枚で不思議とストップしてしまいます。そしてスランプだ、スランプだと言うわけです。
それはスランプではありません。
自分のスタイルや文体を確立するために越えなければいけない壁なのです。
筆が止まってしまった時が、チャンスなのです。その先に自分にしか書けないものがあるのだ、僕はそう思います。
手応えの無い中、不安を抱えながら書き進んでいくその先に、答えがあるのだと思います。
サラダをドレッシングから作る人なら、きっと僕の言っていることに共感してくれるんじゃないかなと思っています。