憧れ

窓を開ければ遠くで川の流れる音がしてくる田舎に僕は住んでいて、この市内を出ることは僕はほとんどありません。食料品の調達と図書館に資料を探しに行くくらいしかしないからです。

 

ですので、たまに都会というものに憧れを感じる時があります。

大学生の頃は東京に住んでいたのですが、今思えば、もったいないことをしたなと思うことが多々あります。せっかく東京に住んでいたのだから、いろんなところに行ってみたり、いろんな人と交流を持って見分を広めておけばよかったなと思っています。

 

まぁ、後悔しても始まらないので(最近、割り切るのが早くなりました)僕が住んでいるところから日帰りで行ける範囲内で都会的な雰囲気を味わえる場所に行こうと考えていました。

 

思いついたのが、空港。

 

ただ単に東京を小さくしたような地方都市に行っても、つまらないと思ったからです。

空港には洗練された空気が漂っています。航空会社の人たちの上品な佇まいや仕事ぶりだったり、コロナの影響でそんなに多くは無いですが、外国の人たちが外国語を話しながら僕の横を通り過ぎたりすると、なんだか都会的な感覚がしました。

 

そして僕は偶然、ある超有名なコーヒー・ショップ・チェーンの立て看板を通りすがりに見つけると、通り過ぎてしまいそうなくらいの通路を発見しました。人が二人通り過ぎるのがやっとなくらいの狭さの通路をとおって、空港本体とは別棟の建物に入ると、そこは貸会議室などのオフィスで、その脇にコーヒー・ショップがありました。

僕はそこでコーヒーを飲みながら、また空港本体とは違った空気を味わいながら小一時間すごしました。

 

帰りに夕食用に650円のハンバーグ弁当を買って、電車に乗って帰る道中、「あ」と思いました。

空港のターミナルで小説を書いていたら、カッコよかったのにな。