リスク

 一部の特権階級を除き、基本、この世はローリスク・ローリターンか、ハイリスク・ハイリターンだと思います。一般のサラリーマンがローリスク・ローリターンに属し、企業経営者やアーティストなどがハイリスク・ハイリターンに属す人種だと思って良いとおもいます。異論はあると思いますが、バイアスのかかっていない、フラットな目で見れば、それは一目瞭然でしょう。毎日、朝から晩まで残業し、数十万円の給料で生活するサラリーマンと、普段はブラブラしていて、ある時、ドカンと思い切ったことをして何百万、何千万と利益を出す企業経営者やアーティストがいるからです。

 どちらを選ぶか?

 99.9%がローリスク・ローリターンのサラリーマンを選びます。

 しかし、ここで不思議な事が起こります。

 サラリーマンという職種を選んだ瞬間に、ローリスク・ハイリターンを人は探し始めるのです。同じ労働で給料の高い企業に就職したがるのが、それです。その為に、偏差値の高い大学に入り、就職活動ではアピール力(りょく)のあるエントリーシート、面接の練習を行い、安定していて他と比べて給料の高い会社に、何とかして入ろうとするのが9割以上の人が実際に行うことです。

 僕はその道から外れ、外から見ることで、ようやく、その実態を見聞することが最近になってできるようになりました。

 前述のとおり、基本はこの世界はローリスク・ローリターンか、ハイリスク・ハイリターンしかありません。しかし人は、ローリスク・ハイリターンを求める生き物のようです。それにより、いろんなものが捻じ曲げられるのです。俗にいう「おいしい話」に引っかかって、詐欺にあうのは、その人の物の見方が捻じ曲げられてしまっていることから起こることで、この世の原理原則を分かっている人は、そんな話には乗りません。取ったリスクに対する対価としてしか、リターンは無いのです。

 僕の場合、リターンを期待してリスクを取ったのではなく、「これがしたいな」ということをしてきた結果、知らない間にリスクを取っていた、というパターンです。社会生活を送る上で、「これがしたいな」という個人的な願望を叶えようとする行為はリスクを伴うのです。僕はそれを身をもって知りました。ほとんどの人は、したくない事をして生きているように見えます。それによって社会は成り立っている。社会的圧力を受け、それに応えることで、うまく役割分担されているのです。自分のしたい事をしようと思う人間は、まず、そこから弾かれます。そして辛酸をなめる生活を人によっては何十年と送り、その中で一握りの人が自分のやりたい事で食べていけるようになる、僕にはそのように見えます。リスクを取ったからと言って、必ずしもハイリターンが期待できない、もしくは何も得られない、つまりハイリスク・ノーリターンという不思議がここでも起こります。

 その中でも、人は幸せを得ようと生きる。本当に不思議な生き物だと思います。

 

 ちなみに、前回の記事で、僕の事をイタイと言った人は、今、原因不明の熱を出しています。それなのに病院に行きません。家庭を持っていて、大企業に勤めている人なのに、です。自分だけではなく、他者をも巻き込むリスクというものを考えていないようです。

 リスクマネジメント、しっかりしたいところです。