持病

裏山の、あまり知られていない長い階段を上ると、少し行ったところに祠があります。最近涼しくなってきたので、朝の散歩がてらお参りに行っています。お地蔵さんが何体も並んでいて、何だか有難い気持ちになります。そしてちゃんとお花を祀ったりお水を入れ替えたりする人がいるみたいで、いつ行っても色鮮やかな花と清潔な水になっています。なので僕も賽銭箱にその日の気分ですが、お参りに行ったら必ずお賽銭を入れています。

その祠を通り過ぎて更に進むと、裏山の登山道に入ります。ですが、ほとんどこの登山道を使う人はいないみたいで、10分も上り進めると、もう獣道でどっちに進めば良いのか分からなくなります。そこで僕は引き返すのですが、引き返してくる道は、登ってくる道よりも険しく感じます。石に苔が生えていたり、もともとグラグラする道だったりするので、下る時は滑りやすいのです。それでも道のそばをせせらぎが流れていたりするので、とても気持ちがいいです。家に帰ってくると、大体1時間が過ぎています。

 

僕の毎日は、このように、ほとんど他人と話すことはありません。以前はこういう毎日に寂しさを感じて、SNSでつながった人と山登りをしたことが2回あるのですが、何だか相手に気ばかりを遣ってしまい、全然山登りを楽しめませんでした。他にも、自分の書いた小説を読んで欲しいという人の相手もしましたが、相手の気に入りそうな感想を考える方に必死で、率直な感想は伝えられませんでした。

 

そういうこともあり、僕はもう、これ以上、人付き合いはしないでおこうと思うに至りました。

人付き合いをして気を遣うより、散歩したり本を読んだり、体を鍛えたり、そして小説を書いたりしていた方が僕には合っていると思いました。寂しさ、人恋しさは正直ありますが、自分のやりたいことや、やるべき事の方を優先しないと、この先、それほど時間は残されていないと思ったからです。

あと5年もすれば両親のどっちかを介護しないといけなくなるでしょうし、その前に一つでも二つでも小説を書いておきたいので、やはり時間はありません。

そして僕もあと10年もすれば死ぬでしょう。少し焦っています。ですが、良い焦り方だと思っています。ようやく自分の人生がはじまったなと、最近思っています。