スランプ

文章を書くことを長い間していると、ある日、突然、何も書けなくなる日が来ます。

僕の場合だけかもしれませんが、きっと、物書きをしている、もっと言えば本気で物書きをしている人は、ある日突然何も書けなくなるのを経験しているのではないでしょうか。

 

僕が初めて物語みたいなものを書いたのが、8年前です。

それは箸にも棒にも掛からぬもので、今となれば赤面の至りとしか言えないものでした。

しかし、頭に浮かんだものをスラスラと書いたのはそれだけで、それ以降は400字詰め原稿用紙30枚から40枚の短編しか書けなくなり、ものになったのは、そのうち2作だけです。それも、既存の作家から強く影響を受け、書いている最中も、迷ったり行き詰ったときは、その作家の作品を読み返すなどした、オリジナリティに欠けるものです。

最後に短編を書き上げたのが、もう半年前です。それ以降、書こうと思っても、原稿用紙20ページきっかりで、書けなくなる、という状態が続いています。

 

一般に、こういう状態を、スランプ、というのでしょう。

売れてもないのにスランプなんて、おこがましい限りです。

ですが、明らかに最初に物語を書いていた感触と、今とでは、違います。

何を書いても、誰かの模倣でしかないように感じます。そして、それすらを、仕方のないことだ、とか、多かれ少なかれどの作家もやっていることだ、などと思ってしまいます。

 

間違いの無い文章など無い。

誰の、何の、影響も受けていない文章など無い。

 

では、何をもって良い文章か。

 

まだ僕には分からないでいます。