遠くにボールを投げる

 肩書きとか、収入とか、そういうものにあまり興味が無くなって、15年くらい経ちます。

 もう15年か、と思う時もあれば、やっと15年か、と思うときもあります。もちろん、こうやってブログを書いている時点でホームレスではないので、僅かながら収入を得てはいますが、貯金を切り崩して生活費に充てているので、このまま行けば、いつかホームレスになります。

 4、5年前までは、それがとても怖くて怖くてたまりませんでしたが、今は、あんまり怖くなくなりました。何故だかは、よく分かりません。何とかなるだろうと、楽観視しているわけではありませんが、「一度、全て捨ててしまおう」と思っているのだと思います。そんな自分がいます。

 肩書きも、収入も、簡単に無くなります。会社を辞めれば。

 それに、会社なんて簡単に社員のクビを切りますし、それをしない会社は簡単に潰れます。だからそんなものに、しがみ付いても仕方ない、そう思うのです。きっと僕が結婚していて子供がいても、会社を辞めていると思います。「家族のために」とか言う人って、何だか言い訳じみてるなぁと、そう感じてしまうのです。「結局は『家族がいないと寂しい』っていう自分のためでしょ?それって」と言いたくなってしまうのです。(あまり大きな声では言えませんが)

 しがみ付かないといけないものなんか、要らないし、そもそも、そんなの無いんです、この世の中に。

 きっと僕は、いつか書くこともやめると思います。書くことが、そんなに創造的で、意味のあるものだとは思わなくなってきたからです。

 一日に出版される本は、雑誌も含めて500冊以上あると聞きます。日曜日は休刊日なので週6日、出版されるとして、一週間で3000冊は新刊として書店に並びます。一ヵ月で1万2千冊、一年でざっくり14万4千冊は出版され、書店に並んでいることになります。

僕が文章を書くようになって15年経ちますので、その間に出版された本は2160万冊です。しかもこれは日本国内の話で、世界でここ15年の間に出版された本の数というのは、もはや億単位になることは間違いないでしょう。

 

 僕と同じことを考えて書いてある本が、必ずあります。

  

 では、なぜ書くのか?

 単に自己満足のために書いているのではないか?

 

 という疑念が僕の中で湧きました。

 だとしたら、僕も、書くということにしがみ付いているだけだ、他の人と何も変わらない、そう思いました。だから、いつか書くのをやめると思いますし、その時が来るのを待ちわびています。

 

 まぁ、それまでの間は、何か書きますけどね。

 

 ただ、たまには自分に関することから離れたことを書きたいと思ってます。すごい遠くにボールを投げてみようと思ってます。5年くらいかかって、ようやく探し当てられるくらい、遠くに。